人生を変えるきっかけは英語

マーシャル まなかさん
楢葉町 → ニュージーランド → 東京 → 千葉 → 楢葉町
楢葉町で生まれ育ち、ニュージーランドの大学へ留学。帰国後、都内で働いていたが自然が豊かな場所に住みたいと考え、楢葉町へ家族でUターン。

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マーシャルさんは楢葉町生まれで、いわき市の福島工業高等専門学校(※以下、福島高専)を卒業するまで楢葉町で育ちました。中学生の時に英語が好きになり、英語に力を入れていた福島高専に進み、卒業後は母や先生の勧めもあり、ニュージーランドへ留学しました。

ニュージーランドではいろんな人に出会うことができたそうです。「様々な国の人はもちろん、日本人でもこれまであまり周りにいなかったような人に出会いました。印象に残っているのは、大学課程に入る試験で基準点を超えられなかった先輩が、学長に直談判してなんとかなったというエピソード。行動に移すことが大事だと感じました。」

留学するまで楢葉町を離れたことがなかったせいか、ホームシックにかかってしまいました。そんな時に、親に「それなら帰ってくれば」と言われ、帰りたいときに帰れると開き直れるようになり、気持ちが落ち着いたそうです。それ以降はホームシックがなくなり。就活のタイミングまで一度も帰りませんでした。

ニュージーランド留学中に、同じ大学に通っていたクリスさん(※現在の旦那さん)と出会いました。帰国後は、しばらくは遠距離になりましたが、2015年12月に婚姻届けを出すためにクリスさんが来日しました。日本に留まったのも、クリスさんが日本で働きたいと言ってくれたからでした。クリスさんのご家族も、自分の人生だから好きにしなさいと、彼の選択をリスペクトして、後押ししてくれていたそうです。

仕事は海外出張もあり、マレーシア、シンガポール、ニューヨークでの事業に関わりました。現地の企業と提携して、新しい事業を立ち上げるといった内容でした。「海外出張は新鮮で楽しく、会社組織の一部として、動くこと自体が楽しく、いろんなことを経験させてもらった会社には感謝しています。」と話します。そんな中、コロナで国際事業部の仕事が止まってしまい、現地に行けない状況で、新しい事業もなかなか動かせず、異動になってしまいました。

クリスさんは日本に移住してから、楢葉町に来るたびに「楢葉町はいいよね」と言ってくれました。海や山、川がある自然豊かな環境が、クリスさんが住んでいたニュージーランドに似ていることが理由のようです。

「移り住むなら、お互いの両親の近くが理想だね」という話をマーシャルさんとクリスさんはしていたそうです。もともと田舎生活が好きだったからです。移住した時の仕事の心配がありましたが、今の仕事に大きな不満もなかったので、コロナとともにリモートワークが導入されたこことで、楢葉町へのUターンを考え始めました。

「行動に移すことが大事」という考えから、2022年に楢葉町の家族の近くに行きたいと会社に相談しました。会社ではフルリモートによる就業実績がなく、心配でしたが、会社にはスムーズに受け入れてもらえました。ただ、人事制度としてまだ整備されていなかったことから、100%子会社に転籍するという形になり、本社へ出向して同じ仕事をすることになりました。

通学の時に見える山の風景がすごく印象的で、楢葉を離れても懐かしく思い、自然にその風景が好きだなという気持ちが生まれたそうです。毎日見ていた景色だからかもしれません。「楢葉は自然豊かなところがいいと思います。同じ仕事で同じストレスを抱えたとしても、仕事終わりに犬の散歩をしていると心が落ち着く気がします。日の出とともに起き、日の入りとともに就寝するような、自然の中で生きたいという感覚が自分にあって、どこを見ても緑があって、海も見えて広々してる楢葉の景色が一番いいかなと思っています。東京では山が見えないのが結構自分の中で大きかったです。ここに帰ってきて山を見てほっとしている自分がいます。どこまでいっても建物や電線が見える環境よりも、山が見えて、海が見えて、田んぼがあってみたいな環境がいいなと思います。」

「地域の人と交わる場に参加していきたいです。そしていろんな人に娘を出会わせ、いろんな経験をして、いろんなことを感じてほしい。いろんな人がいて、いろんな世界があることを知ってもらいたいと考えています。」この地域には様々なイベントがあると感じているそうです。

父親の病気も移住のきっかけの一つになったそうです。「両親の老いをとても感じていました。孫も年に数回しか会えず、もっと家族の近くにいたいと考えました。何かの時に手を貸せるし、自分にとっても支えてくれる存在です。これからは親と一緒に何かする機会を増やし、親との時間を増やしていきたいです。」

クリスさんは千葉にいた時から土曜日に、近所の子ども達に英語を教えていました。楢葉でも同じようなことができるのではないかと思い、英会話教室を始めました。外国人が少ない地域なので、ネイティブに触れられる需要はあると考えました。チラシを配ったりして今は9人ほどの生徒が、週1くらいのペースで通ってくれています。「彼に任せていますが、何かできることがあればサポートしていきたいです。」と話します。

「自分自身、人生を変えるきっかけは英語でした。英語を学び、使えるところまで取り組めば、世界が広がっていきます。インターネットを通して英語のサイトを見るだけでも、視野は広がっていきます。視野を広げれば、世界のどこかに自分に合った場所を見つけることができるということを伝えていきたいです。」経験をもとに、自分の言葉で子どもたちに伝えていきたいと話すマーシャルさんです。

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