木戸川の魅力を一人でも多くの方に

中島 猛さん
郡山 → 仙台 → 楢葉町
高校卒業までの18年間を郡山で過ごした中島さんは専門学校進学を機に仙台へと転居しました。水族館飼育員を養成する課程を受け、2年後に卒業。新卒で木戸川漁業協同組合に就職し、サケのふ化事業や木戸川の保全等の業務に取り組んでいます。

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福島県郡山市で生まれ育った中島さんは、父親の影響で幼い頃から釣りや自然が大好きでした。高校卒業後は仙台市の水族館飼育スタッフを養成する専門学校に進み、2年間飼育実習やインターンなどの経験を積みました。就職活動の時期になり、同級生がペットショップなどに就職を決めていく中で中島さんは「楽しく仕事をしたいし、できれば地元の福島で働きたい。小さい頃から大好きだった魚や自然に関わる仕事はないか」と思いはじめました。そんな時に、目に留まったのが楢葉にある木戸川漁業協同組合の求人。楢葉には縁もゆかりもなく、訪れたことさえありませんでした。しかし、初めて訪れた際に生活の不便さは感じられず、海に近いことに惹かれたと言います。なにより、幼いころから好きだった魚や自然に関わる仕事が地元福島でできるということが進路選択の決め手となりました。

楢葉に移り住んでから数か月は職場の紹介で、町内のシェアハウスで生活をしていました。しかし、仕事柄朝が早いこともあり、同居人への配慮から別の賃貸住宅に転居しました。この時、困ったのは町内の家賃が軒並み高いこと。将来、結婚を考えた時に家賃の高騰や女性が働けるような職種が少ないことは大きな不安でした。一方で、スーパーやホームセンターはあるので、日常生活を送るうえで支障のない環境には一定の居心地の良さを感じています。「買い物が好きな性格でもないし、自炊もするのでネットショッピングを活用すれば、そこまで不便さを感じることはありません。けど、釣り道具はいわき市に行かないとないです」と冗談交じりに語ってくれました。
現在の仕事は木戸川を管理し、透き通った清流を守っていくこと。そして木戸川伝統のサケの養殖や漁、アユやヤマメなどの生態を調査することです。震災前は年間で7~13万匹近くのサケが捕れ、本州での漁獲量が1位になったこともある木戸川ですが、避難中に放流できなかったことや温暖化の影響等で2021年度は漁獲量が246匹まで落ち込みました。「秋になるとサケで木戸川の水面が黒く見えた」「波と一緒にサケが来るのが遠くでも分かった」など、サケの漁獲量の多さにまつわる様々な逸話を聴くことができ、サケが町民の誇りであることを実感しています。そんなサケ漁をもう一度復活させ、この地域を盛り上げたい。漁協の職員、さらには木戸川を愛する方々と一丸となり、日々変化する自然と向き合い続けています。

太平洋に面し、木戸川や井出川などが流れ、上流に上れば渓流釣りが楽しめる楢葉は、釣り好きにとっては贅沢すぎると言います。中島さんの車には職場の上司に貰ったという釣竿が常に積まれています。 アナゴが食べたいと思えばアナゴを釣りにいわきの海に足を運ぶほど、いつでも釣りを楽しめるよう、心も体も常に準備万端です。魚や自然が好きで今の仕事に就いた中島さんにとっては、趣味と仕事が交わる距離感が一番の魅力だと語ります。

今後は木戸川を震災前のような状態に戻していきたいと語る中島さん。その想いが強くなる出来事がありました。地元の小学性が育てたサケの稚魚を川に放流するという取り組みの中で、水温の管理など飼育の困りごとを共に解決していくことで、なんとか子ども達の手で育てた稚魚を放流できるようにサポートしました。子ども達がサケや木戸川に親しみを持ってくれることに喜びを感じ、気軽に子ども達がサケや木戸川の自然に触れ合える環境を整えたいという想いが強くりました。今は放射線量などの影響で、木戸川で一般の方が釣りをできる魚種はアユだけです。しかし、木戸川にはウナギやヤマメなど多くの魚種が生息しており、また釣りだけには留まらない豊かな自然の営みをもっともっと知ってほしいと中島さんは願っています。

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