楢葉町の地元の会社として見てもらえるように

長井 翔太朗さん
大阪府吹田市 → 楢葉町
立命館大学在学中に農業に関心を持ち、「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」に就職。楢葉町でのさつまいもの取組に関わり、2021年から(株)福島しろはとファームに異動。

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大阪府吹田市出身。立命館大学の理工学部環境都市工学科から大学院に進みました。環境システム工学を学んでいましたが、「農業」に関心を持ち、在学中にもかかわらず直接農家のところに学びにいくほど熱は帯びていきました。その時に、農家がこだわりをもって作物を作っているのに、JAに卸して終わりになっている今の農業に対して「すごくもったいない」と感じたそうです。

その後、農業の6次化に関心を持ち、白ハトグループが運営する「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」に入社を決めました。そこは小学校の跡地に製造工場、マルシェ、レストラン、カフェがあり、いつ来ても農業体験ができる、テーマパークのような場所でした。6次化にも大規模に取り組んでおり、楢葉町での事業もなめがたファーマーズヴィレッジの視察が出発点でした。

2017年に大学を卒業し、行方へ行きました。ちょうど白ハトグループが楢葉町での事業を始めたタイミングでもあり、その年の苗植えで初めて楢葉の地を踏みました。その後も、年に1~2カ月は楢葉町に応援で来ていましたが、2020年秋に新設の貯蔵庫の稼働を契機に楢葉町の福島しろはとファームに異動。2021年1月、職場の同僚だった妻とともに移住しました。

 

 

大学入学の年に東日本大震災が起きました。長井さんも大学のボランティアバスで被災地に何度も足を運んだそうです。「その経験が今の自分の考えに影響し、ここで働くことの意味や役に立ちたいというモチベーションに繋がっているのではないでしょうか。」と話します。

白ハトグループが目指すものは、サツマイモの産地を増やして、生芋の原料確保をしていくことです。しかしそれだけなら日本中どこでもよく、長井さんとしてはこの楢葉町で実現させることに意味があると感じています。「サツマイモは老若男女問わず収穫体験ができます。女性や子どもたちが笑顔になれるような場をつくっていきたいです。」仕事の内容が、自分が関わりたいと思っていたまちづくりの理想像に近づいていくことに、今はやりがいを感じているそうです。

2021年に婚姻届を出しに行った時受け取ってくれたのは町長でした。娘が生まれた時にも地域の皆さんに喜んでいただき、地域から暖かく迎えてもらっているなと感じています。

「地域の人と会うと子供が『大きくなったね』と声をかけてもらえます。そういう距離感は地元とは違います。また、コロナに家族でかかった時には、職場や役場の方が家に物を届けてくれました。」都会にはない人の繋がりや支えに温かさを感じているそうです。

春の苗植えと秋の収穫祭といった地域を巻き込んだイベントを年2回行っています。「初めは役場の職員やJAさんなど関係者だけでしたが、今は地主さんや中学生が参加し、100人くらいの規模になっています。少しずつですが、県外からも申し込みが舞い込み始めています。楢葉町でもいろいろなイベントや祭りが再開していく中で、声をかけていただき、地域との関りが増えています。」

「地元の人からすれば、大阪からよくわからない会社がきたという印象があったのではないかと思います。行政との連携はしっかり行ってきましたが、地元の方の理解はまだこれからだと思っています。」それは楢葉町に住んでみて、さらに感じるようになったと言います。

「時間をかけて、地元の会社という形になっていきたいなと思っています。貯蔵庫が建てられた場所も、震災前までは前原地区の方の家がありました。そこに貯蔵庫や育苗ハウスができ、風景が変わってしまった。複雑な気持ちで見ている人もいます。」

福島しろはとファームが来て変わってしまったではなく「来てくれて良かった」と言ってもらえるように、地域の腰を落ち着けてじっくり取り組まなければならないと話します。実際に地域の人との接点が増え、対話の中で「見られ方」が変わってきたことを実感しているそうです。

これから一緒に会社を作っていく仲間を増やしていきたいと話します。「言われたことだけをやるのではなく、覚悟を持っていろいろなことを提案してくれる人材を求めています。簡単には成功できないと思いますが、失敗をしながら次のチャレンジにつなげていくような前向きな人。そのためには、なにかしらこの地域への想いがないとだめなんじゃないかと思います。我々の会社の取組もまだ順風満帆ではありませんが、ここで働く意味に共感してもらえる人がいいです。やり方は決まっていませんがゴールは決まっています。サツマイモにこだわって、一緒に頑張っていきましょう!」

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